職人の言い伝え・諺・その他



【千両ヶ辻】せんりょうがつじ    --西陣・通称

【下手の張りケン。】へたの はりけん
  けんが強い方が糸捌きが良いので、下手な織り手さんはけんを強くして織る。
  絹糸は引っ張れば長さの一割程伸びるが、張りけんで織った帯は織り上がり後、
  収縮度が大きい。風合いも絹糸独特のむっくら感が乏しい。
  故に、糸に負担を掛けずに織った帯は風合いが良い(上手な織り手)

【上を織るより下を織れ。】 かみをおるより しもをおれ
  生地につみ、しらみ等の傷が入って解くと織段に成る、適度なけんを掛けて織る為にも、
  経糸を綺麗にして置く(下を織る)こと。

【がたり三文】
  来客を嫌う言葉。来客が来ると織る仕事が中断され三文は損をすると言う意。

【御金当さん】ごきんとさん
  仕事の邪魔になるのに、再々来る人。

【ほとけも 三匁】ほとけも さんもんめ
  仏の様なまじめな賃機業者でも、機業家からあずかった絹糸を、少し(三匁)ぐらいはごまかすと言う事。

【当唄】あてうた
  あてこすりの機織唄。即席の機織唄で人の悪口をいったりする。
  例=「唄(当唄のこと)は うとうても 話はするな 話は仕事のてをとめる」
【宵間 (よんま)】
  5日目ごとの早しまいのこと。その昔、西陣の起業家では夕食後に夜業を
  するのが普通であったが、毎月1の日と5の日は仕事を早く切り上げ食膳
  に魚がついた。

【風呂屋の釜】ふろやのかま
  値ぶみして買わない人。「湯だけ」をかけた語。

【番助】ばんすけ
  預かった絹糸をピンはねして売る人。

【オチョコチョイ】
 伝統的な織屋の織手に対して、新興織屋の織手のことを言う。
 例=○○織屋のオッチョコチョイが帰りよるは〜。

【のらの節季働き】のらの せっきばたらき
 金がなくなると仕事をする職人。


平文の西陣織用語・色見本
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