綜絖屋

あぜおさ(畦筬)
  整経機に装置し、経糸に畦を組む用をなす筬。筬羽の上に長いものと下に
  長いものを、一羽根ごとに交互に植えた筬で、これを通した経糸を上下し
  て畦組みする。
いり(入り)
  筬一羽に刺す経糸の数。
うまいと(宇麻糸、馬糸)
  紋織物の製職に用いる紋綜絖の目ガラスを支える上下の綜絖。
おさ(筬)
  経糸を平均に配列し、緯糸を打ち込む用をなす織物用具。
おさいり(筬入り)
  筬一羽に経糸が何本かいれる様。
おさざし(筬刺し)
  筬に糸を通す時に使用する、真鍮の金具。筬に糸を通すこと。
カタン
  錦糸のことであるが、綜絖のワイヤー部と通糸(つうじ)の連結部に使用
  する糸を木綿糸でなくても”カタン”と呼ぶ。
ぐんかん(軍艦)
  ピアノマシンの孔穴のたがねの入っている部分をいう。
こしかけ(腰掛)
  綜絖の通じ糸の結び目に引っかかって付いて上がること。
こわ
  織物の耳を補強するために、経糸とは別に添加して織り込む太めの糸。
さしいれや(刺し入れ屋)
  綜絖屋の事
さしひらい(刺し拾い)
  綜絖製作作業。綜絖に順よく経糸を通すことを”拾う”といい、筬に通す
  作業を”筬刺し”ということからこのように言う。
しず(鐘)
  おもり。
じいた(地板)
  ジャカード機の下部にある木製厚板。竪針(たつばり)を支え、針数に応
  じた穴に龍頭(りゅうず)を通し綜絖を吊る。
すいり(素入)
  一本の綜絖に一本の経糸を通した仕掛け。またその織物。素入の外に二本
  引き揃え(羽二重)や三本引き揃え(三つ羽二重)のものがある。
そうこう(綜絖)
  はた(機・綜)ともいう。製職用機材の一つ。経糸を引き上げて開口し、
  杼道を作るためにジャカード機より吊す。糸製のものと金属製のものがあ
  る。
たすけ(助け)
  紗・絽などを組成する綟り装置。”ふるえ”の一部で主装置の補助的役目
  をなすもの。経糸の捩り(ねじり)を戻すときにこれを引き上げ、普通開
  口を妨げないようにする。
つうじ(通糸)
  綜絖の経糸を通す部分とジャカード機の竪針を連結する糸、往時は麻糸が
  用いられたが、現今では合繊糸を使用するのが普通である。
ふくろみみ(袋耳)
  袋状の耳組織。
ふせ(伏)
  紋織物の絵緯を押える搦装置。これにより不用の絵緯を織物の裏面に織り
  込むことがないから縫取織物には必要である。
ふみせ(伏せ)
  伏と同じ。
ふるえき(ふるえ機)
  紗や絽のような搦み織物を製職する時に用いる特殊な半綜絖。逆振え、観
  音振えなどがある。
へごもり
  綜絖時にタテヘ(経糸)できていない時、代わりに使用する糸。
ぼうとう(棒刀)
  紋織物は文様の大きさにより”はつり”を大きくしなくてはならないから
  ジャカード機の針に頼って密な地組織を得ることは困難である。そこで
  文様に関係なく経糸を組織させるため通糸(つうじ)の下端と”めガラス”
  の中間に小板を挟み込む。これを棒刀と称し、紋針と別の立糸と別の吊り
  込み、経糸一本単位で組織をつくる装置。
まえばた(前機)
  所要の経糸を押えて絵緯を綴じる”ふぐせ”や地組織を作る無地綜絖など、
  すべて紋綜絖の手前に装置する仕掛けの総称。
まくらみみ(枕耳)
  織物の耳組織の一つ。2上がり2下がりの経畦組織で左右の組織を一越ず
  つずらしたもの。
まつば(松葉)
  綱線製の”ふぐせ”装置。搦作用をする経糸を通すため細い綱線の中間か
  ら2又に分かれているのでこの称がある。
みずなわ(水縄)
  直径2ミリ程で表面に蝋を塗った糸で引っ張りと摩擦に強い。
めいた(目板)
  紋織物用綜絖の通糸(つうじ)を順よく配列するために通糸に見合う数の
  小孔をあけた木板。その巾は織物巾と同じで、孔の数は経糸数と同じか、
  または少し余裕がある位でなくてはならないから、穿孔密度は板の奥行き
  で補い密度により番号をつけ”何号目”と称する。
めがらす(目硝子)
  綜絖に経糸を通す際に用いる小楕円形のガラス製品。小さい穴が三個あり、
  中央の穴には経糸を通し、上下の穴は糸綜絖でつなぐ。金属綜絖の場合は
  経糸用の穴が作りつけになっているが、用途は同じであるから、この部分
  を”めがらす”といっている。
やがね(矢金)
  紋綜絖の再下端に吊り下げる鉄線または沿線のおもり。
やすら
  経糸二色を交互に整経したもの。
りゅうず(竜頭)
  ジャカード機の立針と綜絖の通糸を接続する麻のひも及び吊環。
わく(枠)
  糸枠。綛糸を繰り返して巻き取る4本爪の木枠。今ではプラスチックのも
  のが多い。







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